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2016年10月吉日
野球知識検定実行委員会


『〝原点〟を忘れずに』
           伊藤 綜一郎

2009年春、何気なく週刊ベースボールのページを捲っていた当時中学2年生の私の目に、一つの広告が飛び込んできた。『週刊プロ野球セ・パ誕生60年』創刊のお知らせだ。1950年の2リーグ制開始から2009年までのプロ野球の歴史について、1号を1年(一部、1号を2年)にあて、その年の球界の主な出来事を中心に紹介していくという内容のものだった。

さらに毎号の付録として、その号で扱う年にまつわる選手2名のカードがついてくる。1年で刊行予定の50号を全て揃えれば、レジェンド100名のカードが集まるというのだ。 小学生の頃から巨人ファンだった私だが、球界の歴史については明るくなく、昔のプロ野球については、父から聞く程度のことしか知らなかった。

第1号は1974年を扱うもので、表紙には「長嶋茂雄、引退 涙の後楽園球場」とある。付録のカードは、あまり過去の野球について明るくないとは言え馴染み深い、長嶋茂雄と王貞治。ちょっと勉強してみるかな、という軽い気持ちで定期購読を決めた。

本来は毎週火曜日の発売なのだが、私が当時暮らしていた岡山では雑誌が店頭に並ぶのが1日遅く、手に入るのは水曜日。その水曜日になると、野球部の練習を終えた私は近所の書店のレジに直行し、取り置きしてもらっている本を受け取る。それが1年続くことになった。

しばらくはカードも馴染みのある選手のものが多かった。創刊号の1974年から1年ずつ先に進んでいったので、カードになる選手も比較的新しく、江川卓、落合博満、原辰徳…と解説者や監督として既によく知る面々だった。ところが時代を遡り、1950年代や60年代を扱う号になると、途端に分からない。

米田哲也、江藤慎一、中暁生…と、もちろん今でこそよく知る方々だが、当時中2の私にとっては聞いたこともない名前ばかりだった。何せカードも今までカラーの写真だったものがこの辺りはモノクロの写真なのだ。だが俄然興味がわいてきた。自分の知らない過去の選手にもこんなすごい選手がいるのか。

そのうちに、毎号の誌面の内容もさることながら、自分の知らない偉大な選手のカードが手元に集まり、その選手一人一人について新たに知っていくことに、大きな喜びを見出すようになった。

それから7年、私は野球知識検定の2級に合格するまでになった。慶應義塾大学ではプロ野球ファンサークルSphereの副代表として勉強会を行ったり、日頃から友人や先輩・後輩と野球の知識を競い合ったりしている。

先日、石毛宏典氏・ギャオス内藤氏との食事会に参加した際、私は『週刊プロ野球セ・パ誕生60年』の付録のカードの一つである石毛氏のカードを持参し、そこに石毛氏からサインを頂いた。

これは石毛氏が新人王を獲得した1981年の号の付録だ。大学生活をかけて打ち込んできた野球知識検定の食事会で、私が野球の知識を深めていくことの「原点」となったカードに憧れの選手からサインを頂くことができ、感無量だった。

全50号分のカード100枚は、今でも全て大切に保管してある。「今まで知らなかった偉大な選手について知ることの喜び」という「原点」を忘れることなく、野球知識検定1級合格に向けて、これからも励みたい。



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